昨今、野外音楽フェスの観客動員数が147万人を超え、150億円市場とまで言われている。「フェス・バブル」は峠を越えたという意見もあるが、それでもいまだ巨大産業であることに変わりはない。それと比べれば、KAIKOOの規模は豆粒のようなものだ。DJ BAKUと〈POPGROUP〉は約5年半の間に17回という驚異的なペースでKAIKOOを開催し、じょじょに文化圏を広げながら、当初数百人だったクラウドを1万人を超えるオーディエンスまでに膨れ上がらせている。ただ、ここで言いたいのは人が増えればいいという数字の話ではないし、ましてやビッグになればいいという上昇志向の話でもない。彼らが素晴らしいのは、経済力と文化的な影響力が必ずしも直結しないということを溢れんばかりの情熱で証明してみせようとしていることだ。
KAIKOO HUMAN BEINGより抜粋

BAKU : この日はBOSSくん(ILL-BOSSTINO)も観に来てたよね。ちょうど『SPINHEDDZ』が出たばかりの頃で、KRUSHさんをゲストに呼んだのもはじめてだった。自分のイヴェントで共演できたのが嬉しかったね。MSCとかRUMIとか降神とか、MCがどんどん出てくるライヴをやったね。でも正直、〈SHIBUYA-AX〉の規模でKAIKOOをやるのは怖かったけどね
坂井田裕紀 : 僕は10代後半から20代をイギリスで過ごしていたから、〈Mo'Wax〉には凄く影響を受けていて、KRUSHさんと〈Mo'Wax〉の動きもヤバかったでしょ。ビースティー・ボーイズの〈Grand Royal〉も大きかった。イギリスはストリート・カルチャーに社会的な価値が認められているんだよね。アンダーグラウンドでカッコいいことをやっていれば、メジャーが引っ張ってくれる。メジャーが常にストリートを見てる。そういう関係性がある。そういう意味で、帰国したとき日本のメジャーには期待を持つ事は出来なかったですね。だからもっとメジャー/インディペンデントの繋がりを作りたいと思った。
BAKU : オレらと近いようなことをやっている音楽関係者の人から「ストリートに希望はないよ」という言葉を聞いたことがあって。まあ、オレだって普通にやってたら日本の状況に諦めていたかもしれない。宗教でも入って、みんなで右へ倣えでやんないと生きていけないのかなって。実際、個性をつぶすのが日本の教育の根底にはあると思うし。
坂井田裕紀 : だから、僕ら〈POPGROUP〉は、インディペンデントやストリートで自分の考えを持っている人たちと、その考えを変えずに大きくなっていくことなら何でもやっていく気持ちがある。僕らにはお金はないかもしれないけど、アイディアはある。それこそこの時期は、メジャーとインディーの交流が面白くなっていった時期だよね。toeや犬式なんかが有名になっていくタイミングだったと思うし。アイディアは奇跡を起こすけど、お金は奇跡をおこさないし、アイディアを超えることはできないよ。
BAKU : だからやっぱり不可能ではないんだと思う。単刀直入に言うと、オレは真っ直ぐなバカに期待してる。異常に信じて異常に前向きなバカ野郎のパワーってのがある。ちょっと利口な連中は、なぜか上から目線で「それ、おかしいよ」って笑ってくるけど、結果を見れば、いつもバカが道を開いて、バカが多くの人たちに幸せを与えてる。だって、この頃は夢みたいな話だけど、いまはKAIKOOに1万人もの人たちが遊びに来てくれるんだよ!

DJ BAKU「SPIN STREET / CANNIBAL -MIX」
LP SOLDOUT

DJ BAKU「SPINHEDDZ SECRET WEPONS」
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YAS-KAZ
「兎に角」
CD ¥3,000

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