昨今、野外音楽フェスの観客動員数が147万人を超え、150億円市場とまで言われている。「フェス・バブル」は峠を越えたという意見もあるが、それでもいまだ巨大産業であることに変わりはない。それと比べれば、KAIKOOの規模は豆粒のようなものだ。DJ BAKUと〈POPGROUP〉は約5年半の間に17回という驚異的なペースでKAIKOOを開催し、じょじょに文化圏を広げながら、当初数百人だったクラウドを1万人を超えるオーディエンスまでに膨れ上がらせている。ただ、ここで言いたいのは人が増えればいいという数字の話ではないし、ましてやビッグになればいいという上昇志向の話でもない。彼らが素晴らしいのは、経済力と文化的な影響力が必ずしも直結しないということを溢れんばかりの情熱で証明してみせようとしていることだ。
KAIKOO HUMAN BEINGより抜粋

根木龍一 : 〈ZAIM〉のあたりはガキのころからチャリンコで動いているようなところだったから、あそこで〈KAIKOO meets REVOLUTION〉を作れたのは感慨深かった。もともとは旧財務省で、あの日にライヴや色々な催しをやったのは裁判官室とか債務者控え室だったところなんです(笑)。地元の大先輩が〈ZAIM〉にいたりして、借りることを決めましたね。あの頃は、単純に黒い箱でやるのにマンネリを感じていたし、アートとして街の一部を使いたかったのは大きかった。オレはこれまであらゆるジャンルの、色んなアーティストを呼んでライヴ・ハウス、海、重要文化財、カフェ、洞窟といった色々な場所で企画をしてきて、ほとんどのアーティストの人と呑んで、遊んで、話して、ライヴ会場以外でも交流がある人を呼ぶのが自分のやり方だと思ってた。でも、自分のノリだけでやると何かが「あの時」やりたいことには近づかない気がしてて。そんな時に〈POPGROUP〉の裕紀くんとがっちりタイミングが合って開催することができた。オレはKAIKOOはクラブ・シーンも含めて最先端で、NO.1のイヴェントだと思ってたから、KAIKOOとの合体なしには成功はなかったと思ってる。
坂井田裕紀 : 横浜の〈ZAIM〉は(KAIKOO meets REVOLUTION共同主催の)根木(龍一)ちゃんが横浜在住ということで市ともつながっていたから使うことができた。それでも、日程が決まるまではなかなか大変だった。全館20部屋ぐらいを使うのは僕らが最初だったのもあった。あとやっぱり、クラブやライヴ・ハウスに行かなくても音楽と深く触れられる機会があるのは大事だと思う。その意味で自分にとっては人種の坩堝のロンドンでの経験が刺激的だった。町の真ん中の駅を降りたら凄い人数の人がいて、その群集が代々木公園みたいなにところまで続いていて、そこで数万人規模のフェスをチャリティーでやってたりする。家の近くを散歩していると50人ぐらいの小さなレゲエのイヴェントを家族でやってたり、20分ぐらい電車で移動した吉祥寺みたいな町の中で、7~8万人規模のブロック・パーティーが行われてたりもする。そういうのを東京でもできたらなと思ってる。あと、自分が新しい何か提案をしようとするときに多くの人に伝えたいと思うのは、音楽で世の中を良い方向に持っていきたいと心から思ってるからなんだよね。だから、内容と同じぐらい集客は重要だと思う。自分たちのエゴではいけなくて、世の中の人が共感してくれないとだめだと思ってる

KAIKOO meets REVOLUTION
DVD ¥3,980

DJ BAKU
DHARMA DANCE
CD ¥2,800

ミャンマー軍事政権に抗議する
ポエトリーリーディング
LP SOLDOUT

徳澤青弦
ボツネンの音楽
CD ¥3,300

POPGROUP PRESENTS
KAIKOO PLANET
CD ¥2,500