昨今、野外音楽フェスの観客動員数が147万人を超え、150億円市場とまで言われている。「フェス・バブル」は峠を越えたという意見もあるが、それでもいまだ巨大産業であることに変わりはない。それと比べれば、KAIKOOの規模は豆粒のようなものだ。DJ BAKUと〈POPGROUP〉は約5年半の間に17回という驚異的なペースでKAIKOOを開催し、じょじょに文化圏を広げながら、当初数百人だったクラウドを1万人を超えるオーディエンスまでに膨れ上がらせている。ただ、ここで言いたいのは人が増えればいいという数字の話ではないし、ましてやビッグになればいいという上昇志向の話でもない。彼らが素晴らしいのは、経済力と文化的な影響力が必ずしも直結しないということを溢れんばかりの情熱で証明してみせようとしていることだ。
KAIKOO HUMAN BEINGより抜粋

BAKU ： やっぱりMSCが出ると盛り上がるんだよね。「待ってました！」って感じがあるよ。
漢 : まあね、でも、MSCがいいライヴやればね！
BAKU ： ハハハハッ。でも、だいたいいいよ。ほぼいいよ。
漢 : オレのソロでもMSCでもでかいイヴェントに呼ばれると、温かいっぽい曲を抽出しちゃう。「決断」とかね。でも、KAIKOOにはコアな客がいるから、「巡回」から入って、「宿ノ斜塔」を歌って、そこで盛り上がるじゃん。
BAKU ： 「ブロック塀、ガツン！」みたいな、「殴る！」とか「帰れ！」とか、そういうのが好きなんですよ。
漢 : 困るよね、こっちも。都合よくオレらを悪人にしちゃってさ（笑）。ILL BROS（漢とTABOOのユニット）の曲も盛り上がるけど、普通の人からしたらホントに怖いよ。TABOOのリリック聴いて、オレもズキンと来るもん。
BAKU ： 『THE 12JAPS』で般若と漢くんの曲は結構あっさりできたよね。テーマは東京だったね。
BAKU ： 漢くんと般若が一緒にやったことがなかったから、一回やっておかないと絶対前に進めないなって俺自身も思ったんだ。思い入れも深かったし。まだまだオレもスーパーベストだとは 思ってないけど。
漢 : ヒップホップをやっている中で優先順位があると思うんだ。フッドだったり、人付き合いだったり。〈POPGROUP〉にもあるでしょ？　オレらが全国渡り歩いて出会った、ひねくれた、愛のあるラッパーたちと横でつながって組合やろうぜってなったら、ヤクザや政治家を超えた政治組織になるよ。オレは音楽でやる自信ないんだよ（笑）。
BAKU ： フハハハハ！
漢 : だから、BAKUとかに音楽は任せて、オレはラップしてるんだよ。
BAKU ： いや、でも漢くんが意識してないだけで、漢くんのラップは音楽性高いと思うよ。ビートの乗りこなし方とか。
中略
漢 : 〈POPGROUP〉は東京で新しいネットワークを作ったよね。RAW LIFEとKAIKOOが唯一、オールジャンルのコアな人たちを呼んでいるよね。KAIKOOは時代を表す、旬なアーティストをちゃんと呼んでいるよ。

DJ BAKU
THE 12JAPS
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