東日本大震災と原発事故以降、この国の何かが大きく変わってしまった。“たしかなもの”として信じられてきた物や事が脆くも崩れ去った。音楽に何ができるのか。文化に何ができるのか。芸術に何ができるのか。そのような問いが何百回、何千回とくり返された。簡単な答えはないだろう。
しかし、“無力”と言ってしまう前に、私たちにはやれることがたくさんあるのではないだろうか。いまこそチャンスのときではないだろうか。“大きな力”に頼らずとも、私たちのささやかな日常を祝福する音楽、文化、芸術が私たちの生きる力になることを多くの人が知っている。自分たちのことは自分たちで決める、自分たちの楽しみは自分たちでつくり出す、自分たちの進むべき道は自分たちで切り開くというインディペンデント・スピリット(=自主独立の精神)が、いまこそ必要とされているはずだ。